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防災における急務: 密集市街地対策

こんにちは、サニーリスクマネジメントです。

1月28日、東京湾を震央とするM.4.8の地震があり、最大震度4を観測しました。首都直下地震など大災害のリスクを抱えている東京ですが、実はその東京で積極的に進められている事業があります。それは、木密地域対策です。


東京都は2012年から2022年まで「木密地域不燃化10年プロジェクト」のもと、不燃化特区制度の活用と特定整備路線の整備を一体化し、木造住宅が密集しており災害時に特に大きな被害が想定される地域の不燃化と避難経路の確保を進めてきました。このプロジェクトは2022年に終了しましたが、不燃化特区制度・特定整備路線に対する取り組みは5年間延長し、2027年まで実施される予定です。


日本には、東京だけでなく、また木密地域だけでなく、国内のさまざまなところに密集市街地のリスクが存在しています。今回は、日本各地で発生している密集市街地問題について見てみましょう。


木密地域とは? 密集市街地のリスク


木密地域とは、「木造住宅が密集している地域」を指します。詳細な定義は自治体によってさまざまです。例えば、東京では山手線の内側の地域のうち木造住宅が密集している地域を木密地域として重点的に対応しています。


この木密地域は密集市街地と考えることもできます。密集市街地は、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(密集法)で次のように規定されています:


"当該区域内に老朽化した木造の建築物が密集しており、かつ、十分な公共施設が整備されていないことその他区域内の土地利用の状況から、その特定防災機能が確保されていない市街地"


つまり、老朽化した木造建築物が密集していて、道路や公園などが整備されていないことや土地利用状況から、火事または地震が発生した場合に延焼防止と避難に必要な機能を有していないと判断される市街地がこれにあたります。これが全国一律で適用できる「木密地域」の定義です。


密集市街地には地震発生時における①建物倒壊、②火災、③避難や初期消火活動の難しさといったリスクがあります。このリスクが顕著に現れた災害としては、1923年の関東大震災が挙げられるでしょう。関東大震災では、木造住宅が密集していた下町を中心に揺れによる建物の倒壊が発生し、また、発生時刻が正午に近い時間帯であったため各家庭でかまどを使用しており各所で火災が発生したとともに、倒壊した建物が延焼を呼び、東京は大火災となりました。また、街路が十分に整備されていなかったために火災から逃げ惑う人も発生し、橋での雑踏や川への飛び込みが発生しました。東京府(当時)はそのような被害を受けて公共施設の整備等(当時の施策の詳細はこちらから)を進めました。


国内の危険密集市街地


国土交通省は、2021年3月に「地震時等に著しく危険な密集市街地」を設定し、危険密集市街地約2,220haを令和12年度までに概ね解消し地域防災力を向上するソフト対策の実施率を令和7年度までに100%にするという成果指標を定めています。2020年に国交相が行なった調査では、2012年10月に公表の危険密集市街地をもつ自治体に対し、危険密集市街地の区域と面積、ソフト対策の実施状況の把握が行われました。


同調査によれば、危険密集市街地は埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・徳島県・高知県・長崎県・沖縄県の111地区、2,219haであるとされています。このうち感心ブレーカーの設置促進などの「①家庭単位で設備等を備える取組」、消防水利や防災倉庫の整備などの「②地域単位で防災機能の充実を図る取組」、ハザードマップの作成や防災訓練の実施などの「③地域防災力の実効性を高めるための取組」といったソフト対策について、①〜③を全て実施しているのは111地区のうち約半数の51地区となっています。その他の地域についても、③のみを実施している自治体が18地区、①と③を組み合わせて行なっている自治体が20地区など、1つ以上の対策を取っている自治体は全体の97%にあたる107地区となっています。ただ、いずれの取り組みを実施していない地区も4地区存在しており、この調査から2年が経過しようとしている現在、この4地区もいずれかの取り組みを実施していることが期待されます。


密集市街地のリスクはこれだけではない


上記の危険密集市街地は、「著しく危険」ということで、特に重点的な対策が必要な区域です。しかし、密集市街地のリスクはこれだけではありません。


例えば、東京都は整備地域・重点整備地域・木造住宅密集地域を示したマップを公表していますが、これを見てみると、木密地域は前述の国交相調査よりもぐっと範囲が広がり、より広範な地域に散見されることが分かります。


このように、密集市街地のリスクを十分に把握するには、市町村や都道府県レベルで地区全体をカバーした詳細な調査が必要となります。この調査をもとに、リスクアセスメントや施策の決定を行うことが重要です。


いつ・どこで・どのくらいの地震が発生するか分からないからこそ、全国的に調査と対策立案・実行などの取り組みが求められます。







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