こんにちは、サニーリスクマネジメントです。
10月も月末が近づいていますが、今月末は季節のイベントでもあるハロウィーンの日ですね。ハロウィーンといえば、仮装や「トリック・オア・トリート!」とお菓子、ジャック・オー・ランタン、ホラー映画など様々な楽しいものが詰まった1日ですが、近年問題となっているのが、大都市への人々の過集中やそれによる事故・事件などです。
福岡県警察は2023年10月26日、ハロウィーン当日に先駆けて、福岡市中心部の夜間大規模警備を発表しました。
福岡市での警備
福岡市におけるハロウィーン期間の大規模警備は、2023年10月27日から11月1日の夜間に実施され、天神地区や大名地区の天神西通り、きらめき通り、親不孝通り、サザン通り、メルヘン通り〜警固公園前の5つの通りを中心とした範囲が警備対象にあたります。また、18時以降は歩行者や車両の交通量に応じて交通規制を行う可能性があり、福岡県警察は天神西通りの西側にあたる小路も交通規制を行う場合があるとしています。また、10月27日夜から11月1日朝までは警固公園も封鎖されることとなっています。
福岡県警察はハロウィーン期間の大規模警備を昨年よりも拡充し、今年は警察官最大200名を投入するほか、夜間に県警ヘリコプターを使用し空からのパトロールも実施する予定としています。
海外では訓練も
2022年に群衆雪崩により150名超が死亡した韓国ソウル特別市・梨泰院(イテウォン)では、2023年10月25日に雑踏対応訓練が行われました。この訓練では約150名がボランティアとして参加し、AIを使用した人混みの検知・警報システムを組み込んだ監視カメラ約1000台のネットワークを用いて、リアルタイムで人の流れを把握・制御し雑踏の発生を未然に防ぐというもので、最先端の科学技術を活用したリアルタイムでの看視で市民の安全を確保することに重点が置かれました。
また、韓国警察庁は2023年4月に雑踏警備用として、日本の雑踏警備の体制を参考に「DJポリス」を導入しており、今年のハロウィーン警備でも投入されるものと考えられます。ソウル市局は今年はハロウィーン期間中に1人も負傷者を出さないため、特別市、警察、消防、地元当局で協力することを表明しています。
オンラインでのハロウィーンも実施
話は日本での事例に戻りますが、今年の夏の終わりからハロウィーンに付いて回っている話題が「ハロウィーンのために渋谷に来ないで」という東京都渋谷区の呼びかけです。渋谷といえば「渋ハロ」と親しまれ、ハロウィーンの日に国内でも最多に上る人数が集まり仮装で賑わう場所ですが、毎年路上飲酒などの条例違反やゴミのポイ捨てといった迷惑行為、器物損壊などから殺人未遂などに至る大小様々な犯罪、集まった人々の暴徒化、通行人や車両の事故など、本来季節のイベントを楽しむ場で事件や事故、迷惑行為等が多発するのが現状です。
渋谷は普段から多くの人で賑わう場所ですが、感染症法上での新型コロナウイルス感染症の位置付けが5類に移行し、また、訪日外国人観光客の人数も大きく増えた今年は昨年以上に多くの人が渋谷に集まると思われます。事件事故や迷惑行為が横行すれば、その場にいる人々の安心安全だけでなく、渋谷周辺に住んでいたり勤務していたりする人々にも影響が及びかねません。
渋谷区は「ハロウィーンのために渋谷に来ないで」と呼びかけるだけでなく、「ハロウィーンはバーチャル空間で」とオンラインの活用も薦めています。渋谷区観光協会やKDDIは2023年10月24日に渋谷区内で会見を開き、2023年もメタバース上で渋谷でのハロウィンを開催することを発表しました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出自粛要請等の状況を受けて2020年から行われている、『バーチャルハロウィーン』。メタバースの会場は渋谷スクランブル交差点を中心とした景色が精巧に表現されており、有名タレントや人気アーティスト、YouTuberらが出演する音楽ライブやトークライブ、オリジナルのアバターを使ったオンラインアトラクションなどを楽しむことができます。同イベントではオフラインでのハロウィーンのようにメタバースに集まった人々とともにハロウィーンを楽しみながら、ライブやトークショーなどメタバースだからこそ叶うリアルタイムのイベントも体験できる、参加者にとっては二兎を追い二兎とも得る、社会にとってはさらに多くのメリットを得られるような機会となるでしょう。
全ては「リスクコミュニケーション」
ハロウィーンという一大イベントを目前として、様々なところで「リスクコミュニケーション」つまり、雑踏や事件事故といったリスク発現の可能性を下げ、発現した際でも被害を最小化するためのコミュニケーションが行われています。
冒頭で紹介した福岡県警察による大規模警備の発表も、ソウルで行われた訓練も、渋谷区の呼びかけも、これらは全て「リスクコミュニケーション」です。それぞれ、雑踏の可能性のある場所に対して警備対応を行うという姿勢の提示、ボランティアも巻き込んでの官民一体型の訓練を実施することによる過去の事故の想起と教訓の発見及び伝承、市民や訪問者の安心・安全を確保する呼びかけなど、多くの意義を含んだコミュニケーションが行われています。
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