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リスクマネジメントとしての広報をより効果的に

更新日:2023年8月18日

こんにちは、サニーリスクマネジメントです。

今回のトピックは、「リスクマネジメントと広報」。リスクマネジメントの段階における広報活動は「リスクコミュニケーション」と呼ばれます。


そもそも危機管理に関するコミュニケーションには「リスクコミュニケーション」と「クライシスコミュニケーション」の2つがあります。地震を例にとると、緊急地震速報が「リスクコミュニケーション」にあたり、地震発生後の速報値や気象庁による会見が「クライシスコミュニケーション」にあたります。日本語で「危機管理」と一口に呼ばれているリスクマネジメント・クライシスマネジメントですが、英語で考えてみると「Risk(リスク)」と「Crisis(クライシス)」には大きな違いがあり、リスクコミュニケーションとクライシスコミュニケーションに求められることもそれぞれ異なります。危機管理に関するコミュニケーションをより効果的なものにするには、この「リスク」と「クライシス」の微細な違いを理解しなければなりません。


では、「Risk」と「Crisis」にはどのような違いがあるのでしょうか。オックスフォード英語辞典によれば、両者の意味はこのようになっています:


Risk: "the possibility of something bad happening at some time in the future"(未来のある時点である悪いことが起こる可能性

Crisis: "a time of great danger, difficulty or doubt when problems must be solved or important decisions must be made"(解決されなければならない問題や決定されなければならない重要事項に関する難しさや疑い、大きな危険を伴うとき


最初の一語を見ただけでも明らかですが、平たく言うと「Risk(リスク)」は「Possibility(可能性)」つまり「リスク発現前」、「Crisis(クライシス)」は「Time(とき)」つまり「リスク発現後」ということになります。


リスクコミュニケーションはリスク発現前の取り組みであり、今後発生する可能性のあるリスクに関する注意喚起や、外交等にみられるリスクを回避するためのコミュニケーションがそれにあたります。リスクコミュニケーションは注意喚起・交渉がその本質であり、コミュニケーターによっては必要以上に恐怖心を煽ったり、ハイリスクハイリターンなディールを持ちかける可能性もあります。ただ、リスクコミュニケーションはリスク発現時の影響を少なくすることが目的であるため、情報の受け手がリスクをイメージしやすいように具体的な数値を使用したり、図や表を用いて視覚的に訴えたり、結論をはっきりと伝えたり、リスク発現後の影響や行動について詳細に伝えたりすることが必要になります。


対してクライシスコミュニケーションはリスク発現後の取り組みですが、こちらはリスク発現後の現地の状況やクライシス自体及びクライシスマネジメント(事後対応)の進捗についての報告等がそれにあたります。クライシスの規模や種類によってはコミュニケーター自体が機能しない可能性(例えば災害により公的機関の職員が参集できないなど)があり、またクライシスマネジメントの性質や対応の進捗によって必要となる情報や提供できる情報はいかようにも変化するため臨機応変に実施する必要があります。さらに、クライシスコミュニケーションが行われる環境においては情報の正確性が担保できない場合も多く、デマ・フェイク・誤報・噂・流言などを誤って伝えてしまうこともあるので情報源や一言一句の表現に注意が必要です。


このようにリスクコミュニケーションとクライシスコミュニケーションは大きく異なったものになっていますが、いずれもリスクやクライシスによる影響を小さくし、より迅速かつ的確な復旧・復興を手助けするという目的では共通している取り組みになります。何より、分かりやすく伝えること、そして必要以上に受け手を煽らず常に正確な情報・ありのままの情報を伝えるという真摯さを伝えることが必要です。効果的なリスクコミュニケーション・クライシスコミュニケーションの手法はそのリスクによって様々となっています。






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