こんにちは、サニーリスクマネジメントです。
2023年9月19日、中国江蘇省で竜巻が相次いで発生し被害が出ています。
日本ではあまり馴染みのない災害かもしれませんが、今回は竜巻について見ていきましょう。
江蘇省で起きたこと
中華人民共和国の東部に位置し、南京を省都とする江蘇省では、9月19日に竜巻が連続して発生しました。特に北部で大きな被害が出ており、少なくとも10名が死亡、8名が負傷したほか、約2400棟の建物が倒壊したり損壊したりしました。また、住宅地などの建物だけでなく農村地帯も竜巻に襲われ、農作物にも被害が出ています。江蘇省においては、19日夕方から夜にかけて竜巻や豪雨が発生し、宿遷や塩城で被害が見られました。
竜巻はどのようにして起こる?
今回竜巻が発生した江蘇省は、竜巻の発生条件が揃いやすい場所であったといえます。まず、江蘇省はアジアの大河・長江の河口域にあたり、その南部は長江デルタと呼ばれる三角州に含まれています。三角州は川が平地から海に流れ出る過程で川から運ばれた土砂によって形成される低い平地で、これは竜巻の発生しやすくなる条件の一つである「平地であること」に相当します。また、竜巻が発生した当時、江蘇省の一部では豪雨となっており、竜巻の原因である発達した積乱雲が随所で発生していた可能性があります。
身を守るために取るべき行動
まず、竜巻による被害を防ぐためには、竜巻の発生する可能性がある場所から早めに逃げることが必要です。竜巻の起こる可能性のある発達した積乱雲が近づいているときは、①黒雲が近づき突然周囲が暗くなる、②雷鳴が聞こえたり雷光が見えたりする、③ひやりとした冷たい風が吹く、④大粒の雨や雹が降り始めるなどの現象が発生します。どれも周囲の気象が不安定であることを示し、荒天となる予兆にあたります。
竜巻から身を守るには竜巻が近づく前に逃げ切るのがベストです。ただ、竜巻の移動速度は基本的に自転車〜自動車並みで、遅くとも15km/h程度、最速で100km/h以上もの速度が観測されたこともあり、竜巻が見えてから避難を開始した場合、竜巻の移動速度によっては避難中に巻き込まれる可能性があり、かえって危険です。竜巻が見えた時点で屋外にいる場合は近くの頑丈な建物へ避難します。屋内に移動した場合、また屋内にいる場合は、窓ガラスには近づかず、1階の丈夫な机などに入り身を小さくします。この時に、頭を守る姿勢をとることが重要です。また、時間に余裕があればカーテンを閉めることで窓ガラスが割れた際の飛散による影響を少なくすることができます。
竜巻は高速で移動するだけでなく、通過する場所の建物を破壊したり、瓦礫などを巻き上げたりしながら進行します。竜巻の起こす強風によって建物が倒壊したり、自動車が転倒したりするほか、屋外にいる人や固定されていないものなどが飛ばされます。さらに、建物の倒壊や自動車の転倒に伴って発生した瓦礫や窓ガラスが巻き上げられたり猛スピードで飛ばされたりし、それによって怪我や他の建物の損壊を招く可能性もあります。
馴染みのない竜巻にも警戒が必要
今回竜巻の発生した中国江蘇省は低地かつ平地で竜巻の比較的発生しやすい地理条件が揃っていたと考えられますが、日本は国土の多くを山地が占めており起伏のある地形をしているため、他国に比べると竜巻は比較的少ないとされています。しかし、実は日本は海が広いので「海上竜巻」と呼ばれる海での竜巻が観測されます。また、近年は雨雲が急激に発達することも多く、地上でも竜巻が発生するリスクは十分にあります。
普段から気象警報に合わせてより安全な道を通ったり、危険な箇所は避けたり、発達した積乱雲の前兆を感じたら安全な場所への移動を始めたりするなどの緊急のリスクマネジメントを行うほか、窓ガラスに飛散防止フィルムを貼ったり、防災性能の高い窓ガラスを使用したりするなど、普段からご家庭で対応できるリスクマネジメントも存在します。どのような災害でも共通ですが、危険をすぐに察知して対応できるよう警戒することも必要です。
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